偶然傘(1・2・3・4・5)
職場を後にし、最寄の駅へ急いでいると
西の空が不気味な色になっている事に気がついた。
いつもこの時間なら軒並みネオンが灯っていてる。
ホテルだの飲み屋だのパチンコ店だの煩いぐらいに。
華やかと言う言葉とは違う。煩い。ただ煩い。
その明かりがまるで無くなっているではないか。
途中の新聞社のビルの電光掲示板にニュースが流れていた。
「午後6時40分 F市N川工業、工場爆発で10名死亡」
なんて事ないニュースだ。
だいたいその会社に知り合いは居ない。
そこでふと気がついた。
そういえばF市のあの工場はここから西の方にあるはず。
あの不気味な空は工場爆発の煙だ。
そうだ、何か不気味な事があっても
そこには必ず説明が付くはず。
西の空が不気味だったのは、工場が爆発して煙があがったから。
T村が今日あの傘を手にして以来、行方が分からないのも
私自身があの傘を手にしておかしくなったのも
何か説明が付くはずだ。
そう考えると、
理由があるのだと思えば思うほど
今自分には何も出来ない気がして、
T村の家に向かっているのもなんだかおかしく思えた。
「よそう・・・・」
私は行き先をT村の家から自宅に変更した。
ぼんやりと考えながら駅の構内に入るところで、いきなり携帯が鳴った。
会社の番号からだった。
「あぁ、今いいか?」
先ほど事務所で話していたO田だった。
「さっき、お前の高校時代の友達だと言ってS野さんって方から連絡があったぞ」
「S野さん・・・・ですか?」
S野? 思い当たる人物は一人。Y雄だ。
「急いで伝えたい事があるからと言って携帯の番号を告げられたから伝えるよ」
急いで伝えたい事??
私は教えられた携帯の番号にかけてみると、呼び出し音が鳴るか鳴らないかのところで
すぐにY雄が出た。
「Y雄か?どうした?急ぎって」
「今すぐ会えないか?大事な話があるんだ・・・・」
こんな風に呼び出されるとは、ただ事ではないはずだ。
「何だよ、怖いな・・・」
「今すぐ会えないか?大事な話なんだ」
「いいけど、どこで」
Y雄はここからそう遠くも無い喫茶店を指定した。
私は一体何があるのか不思議で何度も何の用件か聞いたが
どうしても電話では説明できないと焦った感じだった。
なんとかこの重苦しい空気を解きたい私は何度も面白おかしく緊張しながら
「高校時代の話か?」
「それとも借金か何かか?金なら無いぞ!」
とふざけて言ってみたが
「とにかく今は言えない・・・」と、本題を言おうとしなかった。
そして電話を切ろうとした時、Y雄が恐る恐る聞いてきた。
「おまえ・・・・あの傘、今も持ってるか・・・・・?」
西の空の不気味な煙の流れを目で追いながら、
あの傘にうっすら抱いてた好奇心が恐怖心へと変わった瞬間だった。

職場を後にし、最寄の駅へ急いでいると
西の空が不気味な色になっている事に気がついた。
いつもこの時間なら軒並みネオンが灯っていてる。
ホテルだの飲み屋だのパチンコ店だの煩いぐらいに。
華やかと言う言葉とは違う。煩い。ただ煩い。
その明かりがまるで無くなっているではないか。
途中の新聞社のビルの電光掲示板にニュースが流れていた。
「午後6時40分 F市N川工業、工場爆発で10名死亡」
なんて事ないニュースだ。
だいたいその会社に知り合いは居ない。
そこでふと気がついた。
そういえばF市のあの工場はここから西の方にあるはず。
あの不気味な空は工場爆発の煙だ。
そうだ、何か不気味な事があっても
そこには必ず説明が付くはず。
西の空が不気味だったのは、工場が爆発して煙があがったから。
T村が今日あの傘を手にして以来、行方が分からないのも
私自身があの傘を手にしておかしくなったのも
何か説明が付くはずだ。
そう考えると、
理由があるのだと思えば思うほど
今自分には何も出来ない気がして、
T村の家に向かっているのもなんだかおかしく思えた。
「よそう・・・・」
私は行き先をT村の家から自宅に変更した。
ぼんやりと考えながら駅の構内に入るところで、いきなり携帯が鳴った。
会社の番号からだった。
「あぁ、今いいか?」
先ほど事務所で話していたO田だった。
「さっき、お前の高校時代の友達だと言ってS野さんって方から連絡があったぞ」
「S野さん・・・・ですか?」
S野? 思い当たる人物は一人。Y雄だ。
「急いで伝えたい事があるからと言って携帯の番号を告げられたから伝えるよ」
急いで伝えたい事??
私は教えられた携帯の番号にかけてみると、呼び出し音が鳴るか鳴らないかのところで
すぐにY雄が出た。
「Y雄か?どうした?急ぎって」
「今すぐ会えないか?大事な話があるんだ・・・・」
こんな風に呼び出されるとは、ただ事ではないはずだ。
「何だよ、怖いな・・・」
「今すぐ会えないか?大事な話なんだ」
「いいけど、どこで」
Y雄はここからそう遠くも無い喫茶店を指定した。
私は一体何があるのか不思議で何度も何の用件か聞いたが
どうしても電話では説明できないと焦った感じだった。
なんとかこの重苦しい空気を解きたい私は何度も面白おかしく緊張しながら
「高校時代の話か?」
「それとも借金か何かか?金なら無いぞ!」
とふざけて言ってみたが
「とにかく今は言えない・・・」と、本題を言おうとしなかった。
そして電話を切ろうとした時、Y雄が恐る恐る聞いてきた。
「おまえ・・・・あの傘、今も持ってるか・・・・・?」
西の空の不気味な煙の流れを目で追いながら、
あの傘にうっすら抱いてた好奇心が恐怖心へと変わった瞬間だった。

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